今回は注まいづくりをスタートさせた方に向けて、ハウスメーカーと工務店の違いや選び方について解説します。
この記事を読めば、どちらが自分たちに合っているのかが分かります。
この記事を書くにあたり、工務店に転職した元同僚にも協力してもらいました。
すべて業界人による実話なので、記事の内容は信頼してもらってOKです。
本文の前に、ハウスメーカーと工務店の違いについてまとめた表を載せておきますね。
ハウスメーカー | 工務店 |
---|---|
自由度 | |
低い 部材も仕様も規格化されているため、自由度は低い |
高い 間取り、設備、内装なども自分たちの好きなようにできる |
品質 | |
安定している 部材も規格化されていて、工場生産で完成度にバラつきもない |
バラつきがある 規格化されておらず、職人の腕によって完成度にバラつきが出る |
性能 | |
高い 最新の耐震性能や断熱性能、先進のテクノロジーを導入 |
劣る 開発力やスペックは大企業にどうしても劣る |
価格 | |
高い 品質や性能が高い分、コストも高い。全国にいる社員への給料や広告宣伝費も建築費に上乗せされる。 |
安い 人件費も安く、広告宣伝費もチラシ程度。大きな家を安く建てられる。 |
アフターサービス | |
良い 建物自体が長期保証できるクオリティ。アフター専門の会社や人員もいる。 |
劣る 建てたあとも同じ担当者がつく。人手不足になりやすい。 |
【大前提】どちらを選んでも正解です
前置きですが、ハウスメーカーと工務店はどちらを選んでも間違いではありません。
それぞれ良いところがあり、向き不向きもあります。どちらを選ぶかは価値観の問題です。
とはいえ、ハウスメーカーと工務店にも、ベンツとプリウスくらいハッキリとした違いがあります。
以下、それぞれの違いを紹介していくので、どちらが自分たちの価値観に合っているのかを判断してみてください。
8つの項目で比較!ハウスメーカーと工務店の違い
ハウスメーカーと工務店で大きく異なるのは、以下の8項目です。
- 価格
- 性能
- 自由度
- 品質
- 工期
- 打ち合わせ期間
- 保証とアフターサービス
- 企業体力
少し数が多いですが、上記の違いを理解できれば、おのずと自分たちに合っているほうも見えてきます。
初心者の方でもわかるように、簡単に解説していますね。
①価格(建築コスト)
まず、ハウスメーカーよりも工務店のほうが建築費用は安いです。
どれくらい安いかというと、同じ大きさの家でも工務店のほうが1000万円以上も安いというのはよくある話です。
延床面積 | 総額 | |
ハウスメーカー | 30坪 | 3,000万円 |
工務店 | 30坪 | 1,980万円 |
ちなみに、大手ハウスメーカーの価格が高い理由は、
- 広告宣伝費
- モデルハウス建築・維持費
- 下請け会社への依頼料
なども、住宅の価格に上乗せされているからです。
「安くて大きな家を建てたい人」は工務店1択ですよ。
②性能(耐震性や断熱性など)
性能はハウスメーカーのほうが断然上です。
工場や研究施設をもつ大手ハウスメーカーの住まいには、最新のテクノロジーが詰まっています。
- 巨大地震でも倒れない構造
- 60年メンテナンスフリーの外壁
- 柱や壁のいらない大空間LDK
上記のような構造や性能は、地元の中小工務店ではなかなか真似できない部分です。
また、大手ハウスメーカーなら以下の3つも標準仕様で取得できます。
- 耐震等級3
- ZEH(ゼロエネルギー住宅)
- 長期優良住宅
実際のところ、地元の工務店では、上記3つを取れないところもたくさんあります。
「快適で長く住める家が良い人」はハウスメーカー1択です。
③設計の自由度
実は、設計の自由度は工務店のほうが高いです。対して、ハウスメーカーでは制約を受けるシーンもたびたび出てきます。
- 好きな間取りにしたい
- 好きな設備や床材を入れたい
など、自由度の高さを活かして、自分たちの理想の住まいを実現できるのが工務店の良さです。
一方のハウスメーカーは、使用する部材もすべて規格化されているため、自由度は低め。
外観や内装も基本的にハウスメーカーが用意したものから選ぶことになります。
④品質(完成度のバラつき)
住宅ごとの完成度にバラつきが少ないのはハウスメーカーです。
理由は以下の3つ。
- 部材は1ミリの狂いもなく工場の機械で生産
- 現場作業も少なくなるように簡略化
- 釘を打つ位置や本数までマニュアル化
上記のように全て規格化されているので、1棟1棟の完成度の差はほとんどあります。
一方の工務店は、お客様1人1人に合わせて部材を発注したり、現場で加工したりもするので、住宅ごとの完成度にバラつきが生まれます。
工務店は間取りの自由度の高さゆえに、耐震性能などにもバラつきが出やすいというのも知っておきましょう。
⑤工期
出典:積水ハウス
工期が短い(=早く住める)のはハウスメーカーです。
- ハウスメーカー:3~4か月
- 工務店:6か月程度
ハウスメーカーは何から何まで規格化されているため、どの現場も流れ作業でスムーズです。
自社工場で家を作ってから現場に運ぶ「セキスイハイム」や「トヨタホーム」では、着工から2か月足らずで引き渡せるケースも。
「工期は別に気にしない」という人もいるかと思いますが、工期が長ければ長いほど、
- 仮住まいの費用が増える
- 近隣住民への騒音の迷惑も増える
- 雨風によって部材が傷む
といったデメリットも大きくなります。
なんにせよ完成までの期間はヤキモキするものなので、モデルハウスなどで営業マンに工期も聞いておくと安心です。
⑥打ち合わせ期間
契約期限などがなく、じっくり打ち合わせできるのは工務店です。
対して、ハウスメーカーは契約を急かすことが多く、打ち合わせ回数や返答に期限をもうけることも多いです。
※決算期末の兼ね合いや、1人の営業マンが同時に何組ものお客様を担当しているため。
納得できるまで、じっくり打ち合わせをしてから建てたいという人は、工務店のほうが向いています。
工務店の打ち合わせに回数制限がある等は、僕も一切聞いたことがないのでご安心を。
⑦保証とアフターサービス
家が建ってからの保証やアフターサービスにも大きな違いがあります。
項目 | ハウスメーカー | 工務店 |
初期保証 | 20~30年 | 10年 |
最長保証 | 60年 | 10年 |
無料点検 | 30~60年 | 1~2年 |
※大まかなイメージです。細かい数字は各社によります。
住んでからの保証やアフターサービスが充実しているのはハウスメーカーです。
何か補修や交換が必要になったときも、保証範囲内ならハウスメーカー側が負担してくれます。
また、工務店はそもそもアフター専門の部署や会社を持たないことが多いです。
引き渡し後もずっと同じ営業マンが担当。新規契約が優先なので、実質アフターまで手が回らない。
マイホームを建てる前に【保証のありがたみ】を実感するのは難しいと思いますが、困った時にいつでも対応してくれるのは、やっぱり心強いですよ。
関連記事:
本当に必要?ハウスメーカーの保証にかかる費用やメンテナンスを解説
⑧企業体力
最後は企業体力、つまりは倒産リスクの違いです。
注文住宅以外にも多くの事業を手がける大手ハウスメーカーは、今後も倒産するリスクはほとんどありません。
建築中も引き渡し後も、ずーっと保証やサポートを受けられる安心感があります。
一方の工務店は、いつ倒産してもおかしくないというリスクを常に抱えています。
年間受注棟数も10~20棟程度のところが多く、一時的な受注減少で倒産してしまう工務店も少なくありません。
自分たちにはどちらが合っている?判断基準まとめ
ここまでに紹介した内容のおさらいもかねて、それぞれ「こんな人におすすめ」という目安もまとめておきます。
ハウスメーカーがおすすめな人
- 耐震性や断熱性などを重視したい
- 省エネ住宅やスマートハウスに興味がある
- 住んでからのコストを抑えたい
- 耐震等級3や長期優良住宅を取りたい
- 現場での施工ミスなどを避けたい
- 工期は短いほうがいい
- 保証やアフターも手厚いほうが嬉しい
工務店がおすすめな人
- 建築費用を抑えたい
- できるだけ大きな家を建てたい
- 理想の間取りやこだわりがある
- 好きな設備や床材を採用したい
- 納得できるまで、打ち合わせをしてから建てたい
- 保証やアフターはあまり気にしない
ちなみに…僕はハウスメーカーを選びます
あくまで参考ですが、僕はハウスメーカーを選ぶ派です。
1番の理由は、ハウスメーカーの性能・品質の高さに魅力を感じるから。
家族と過ごす時間をなによりも大切にしたいから、できるだけ安心して、快適に長く住める家にしたい…
そのためには、ハウスメーカーならではの耐震性や断熱性などの高い性能が必要。
住んでからのコストも抑えたいから、初期費用は工務店よりも多少高くなってもいいかな…
といった感じ。
あとは、やっぱり自慢したい…というのも本音です。「○○ハウスで建てた」と言いたいし、住んでから他の家を見て「いいなぁ」と後悔したくない。
逆にこうした理由がなければ、迷わず工務店を選んでいると思います。
【参考】ハウスメーカーと工務店の割合(シェア率)
ハウスメーカーと工務店はどちらが人気なのか?も気になりますよね。
1079人を対象にした「どこで家を建てましたか?」というアンケート調査では、
- ハウスメーカー 58.7%
- 工務店 38.5%
- その他 2.8%
という結果が出ています。こちらはご参考までに。
- 調査日:2019年6月6日~6月7日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査人数:1079人
- 調査対象:3年~5年以内に家を建てた人
- モニター提供元:ゼネラルリサーチ
- 参照:エニワン株式会社
どうしても決められない場合は、両方に話を聞きに行こう
どうしてもハウスメーカーor工務店を決められない場合は、両方ともに話を聞きに行くのが良いと思います。
直接話を聞いて、見積もりやプランを出してもらえば、どちらが自分たちに合っているのかも絶対に分かりますよ。
- この値段でこのクオリティなら、工務店でも全然いいじゃん!!
- え、工務店も意外とお金かかるんだ…
などなど、“百聞は一見に如かず”の体験ができるはずです。
見積もりやプランを出してもらうだけなら、基本的にどこも無料なので、ぜひ1度話を聞きに行ってみてくださいね。
参考記事:
200万円は値引ける!ハウスメーカーの相見積もりの手順とコツ
まとめ
まとめです。
冒頭でも書いたように、ハウスメーカーと工務店はどちらを選んでも間違いではありません。
自分たちの価値観に合うほうを選ぶのが正解なので、ぜひ今回のないようを参考に、自分たちに合ったほうを検討してみてください。
ちなみに、当ブログは【大手ハウスメーカーの選び方】を中心に解説しています。
各メーカーの特徴や坪単価がひと通り分かるようになっているので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。
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