全館空調はすごく魅力的に感じるけど、費用は決して安くないし、営業マンも全館空調の良いところしか教えてくれないから、逆にちょっと不安…。
全館空調のデメリット、誰か教えて!
そんな方に向けて、この記事では全館空調のデメリットについて解説します。
この記事を読めば、
- 営業マンは教えてくれない全館空調のデメリット
- お金をかけてでも全館空調を導入すべきかどうか
なども分かりますよ。
※この記事はハウスメーカーに入社してから9年間にわたるお客様へのヒアリングや、webでのリサーチをもとに執筆しています。
全館空調とは|簡単におさらいします
出典:デンソー
全館空調とは、家全体の空調を一括して管理できるシステムです。
屋根裏などにユニット(本体)を設置し、ダクト(配管)を通して各部屋の通気口から空気を排出する仕組みになっています。
最大の特徴は“快適さ”
全館空調を導入する最大のメリットは、24時間365日、家の中はどこにいても快適という点です。
LDKや寝室はもちろん、普通のエアコンでは管理できないお風呂やトイレなども全て同じ温度に保つことができます。
身近な例でいうと、ショッピングモールは全館空調を導入しています。
ショッピングモールはどの階に移動しても、温度は一定ですよね。
全館空調のデメリットは費用だけ!
全館空調について調べてみると、いろいろとデメリットが出てくるはずです。
でも、全館空調を導入したお客様に話を聞いてみると、「全館空調のデメリットは費用だけだ」という人が圧倒的に多いです。
最新の全館空調はスゴイ!
現在もインターネットで検索してみると、
- 部屋ごとの温度調節ができない
- 室内が乾燥する
といったデメリットが数多く表示されますが‥‥
部屋ごとの温度調節や加湿機能などを持った機種もありますよ?普通に。
初期費用やメンテナンス費用に対して首を縦に振れるなら、全館空調は導入して良しだと思います。
全館空調にかかる費用をまとめました
というわけで、全館空調を導入するうえで検討すべきは費用です。
全館空調にかかるコストは大きく以下の5つに分けられます。
- 導入のための初期費用
- 月々の電気代
- メンテナンス費用
- 故障時の修理費用
- 交換費用
今回は実例ベースで具体的な金額も交えながら、それぞれの費用について解説していきますね。
【1】導入のための初期費用
全館空調を導入するうえで最大のハードルとなるのが初期費用です。
一般的なルームエアコンなら
- 1台あたり10万円と仮定
- 5台つけても合計50万円
といった金額でおさまりますが、全館空調はケタがひとつ違ってきます。
以下は、全館空調をウリにしているハウスメーカーの【初期費用】です。
メーカー | 初期費用 |
桧家住宅 【Z空調】 |
110万円~ |
三井ホーム 【スマートブリーズ】 |
130~250万円 |
パナソニックホームズ 【エアロハス】 |
200万円~ |
セキスイハイム 【快適エアリー】 |
80~100万円 |
トヨタホーム 【スマート・エアーズ】 |
140~160万円 |
上記のように、ハウスメーカーや空調機器によっては、初期費用だけで200万円を超えるケースもあります。
全館空調を導入することで予定していた総額費用をオーバーする場合は、全館空調以外のなにかを削るなどの対策が必要です。
【2】月々の電気代
ルームエアコンよりも全館空調のほうが月々の電気代は高くなるのが普通です。
最近はルームエアコンと同じくらいの電気代で済む“省エネ性能の高い全館空調”もありますが、ルームエアコンもどんどん省エネになっていますからね…。
参考までに、全館空調を導入したお客様や友人たちに聞いた“月々の電気代”がコチラ↓
- 月平均:約24,000円
- 12月~2月:約30,000円
- 5~7月:約10,000円
※家族人数や契約形態によって金額は前後しますが。
初期費用と合わせて、毎月2万円以上の電気代を支払えるかどうかも判断しておきましょう。
ぶっちゃけ全館空調にかかるコストは、初期費用と月々の電気代がほとんどを占めます。
この2つをクリアできるなら、費用の問題もクリアしていると思って良いかなと。
【3】メンテナンス費用
全館空調にはメンテナンスや定期点検も必要になります。
メンテナンスを怠ると全館空調そのものを交換するハメになるので、メンテナンス費用は必要経費ですね。
- 年間合計:30,000円
- 点検(年1~2回):15,000~20,000円
- フィルター交換:10,000円
メンテナンス費用の相場は年間3万円くらいです(月々2,500円)。メーカーによっては無償点検期間を設けているところもあります。
【4】故障時の修理費用
全館空調が故障した場合の修理費用は高額になります。
ルームエアコンとは違って、全館空調は店頭に並ぶようなメジャーな電化製品ではありません。
そのぶん修理作業や交換パーツなども高くつくことは事前に知っておきたいところです。
【5】交換費用
全館空調にも寿命があるので、交換する際はもう一度初期費用と同じくらいの金額が必要になります。
とはいえ、全館空調システム自体の歴史がまだ浅く、僕も実際に交換した人は一度も見たことがありません。
全館空調は大体15~20年ほどで寿命がくるだろうと言われているので、余裕をもって蓄えておきたいところですね。
というわけで、全館空調の費用に関するデメリットはこんな感じです。
もう一度まとめておきます!
項目 | 金額 |
初期費用 | 100~300万円 |
月々の電気代 | 約24,000円/月 |
メンテナンス費用 | 約30,000円/年 |
修理費用 | (10万円~) |
交換費用 | (100~300万円) |
初期費用やメンテナンス費用はなかなか削れませんが、太陽光発電システムなどを導入するなら、月々の電気代はゼロにすることも可能です。
全館空調のメリットは計り知れないので、費用面をクリアできるなら僕は導入することをおすすめしますよ!
全館空調の悪い口コミ評判について
「全館空調のデメリットは本当に費用だけ?」という疑問も湧いてきますよね。
そこで、世の中でささやかれる全館空調のデメリットについて少し触れてみたいと思います。
口コミ評判 | 回答 |
部屋ごと・フロアごとに温度を変えられない | 温度調節できる機種も増えている |
機械音がうるさい | 寝室の位置で解決 |
とにかく乾燥する | 加湿機能付きの機種も増えている |
音漏れ・光漏れする | どの家もドアに隙間がある(消防法) |
匂いが充満しやすい | 最近は解消されている |
故障すると家全体の空調がストップ | 対策している機種も増えている |
それぞれ簡単に解説していきますね。
部屋ごと・フロアごとに温度を変えられない
従来の全館空調はフロアごとや部屋ごとの温度調整ができませんでした。
そのため、家族内でも暑がりさんと寒がりさんが揉めることもしばしばあったんですね。
でも、今は温度調節機能を持った全館空調も増えていますよ。
メーカー名 | 機能 |
三菱地所ホーム | 部屋ごとに温度調節 |
桧家住宅 | フロアごとに温度調節 |
パナソニックホームズ | 部屋ごとに温度調節 |
※今もハウスメーカーによっては、温度調節機能がない全館空調を採用しているところもあります。
全館空調の家は乾燥する
全館空調の家はとにかく乾燥するということで、これまではリビングや寝室に大きな加湿器がマストアイテムでした。
しかし、現在は加湿機能を持った全館空調も続々と登場しています(オプションでつけられるメーカーも多いです)。
- 三井ホーム:スマートブリーズ
- トヨタホーム:スマート・エアーズ
- セキスイハイム:快適エアリー など
※部屋の湿度は、床材やインテリア、観葉植物の有無などでも大きく変わります。すべてを全館空調のせいにするのはあまりに酷かなと…。
音漏れ、光漏れする
「全館空調はドアに隙間を作らないといけないので、音漏れや光漏れに気を付けましょう」
といった内容が書かれたサイトやブログもありますが…どんな住宅でもドアにはスキマがあります。(消防法などで必要)
全館空調だからスキマが大きくなるということもないので、これは全館空調のデメリットではありません。
故障すると、家全体の空調がストップする
「全館空調が故障すると家全体の空調がストップしてしまう」というのも大きなデメリット“でした”。
現在は多くのメーカーが、故障時のバックアップに備えて、全館空調の室外機を2台設置しています。
- 桧家住宅:Z空調
- 三菱地所ホーム:エアロテック
- 三井ホーム:スマートブリーズ
- セキスイハイム:快適エアリー(1・2階が独立)
「年末年始やお盆休みなど、修理業者さんがお休みの時期に故障したらどうしよう…」という不安も、室外機が2台あれば解決です。
生活の質を爆上げ!全館空調6つのメリット
全館空調の満足度が高いことからも分かるように、多少のデメリットは気にならないほど全館空調のメリットは強力です。
家の中なら、どこにいても同じ温度
全館空調をつければ、24時間365日、家の中はどこにいても快適です。
なかなか言葉だけでこの良さを伝えることはできないのですが…一度慣れてしまうとルームエアコンには戻れません!
帰宅時に全館空調の良さを感じる。「夏は涼しいぃいい!」「冬はあったか~い」玄関のドアを開ければ、そこは天国。
温度面で、お留守番をするペットや子どもの心配をすることがなくなった。
なかなか起きられなかった寒い冬の朝も、スッと布団から出られるようになった。
「冷房がもったいない!」と、いちいちドアを閉める習慣もいらなくて快適。
「快適」という言葉よりも、全館空調で生活の質がグッと上がるといったほうが適切かもしれませんね。
これだけでも全館空調を導入する意味があるというのはお分かりいただけるかなと!
【ヒートショック対策】老後も安心
全館空調はヒートショック対策にも一役買ってくれます。
■ヒートショックとは
脱衣所と浴室の温度差が大きくなり、その影響で血圧が急上昇する症状(特に冬場)。
そのまま倒れて救急搬送されるご年配の方も毎年たくさんおられます。
全館空調なら【廊下⇒脱衣所⇒お風呂】までの動線もリビングと同じ温度に保てるので、ヒートショックのリスクもグッと下がります。
室内の空気がキレイ!
どのハウスメーカーも全館空調には高性能なフィルターを採用しています。
花粉やPM2.5などを吸着することで、キレイな空気が延々と循環するのが全館空調の特徴です。
フィルター性能はパナソニックホームズの「エアロハス」が断トツです。
精密機器工場や病院のオペ室で使用される【超高性能HEPAフィルター】を採用しており、0.3μmの微粒子を99.97%も除去してくれます。
花粉症の方やペットを飼っている方はぜひ!
全館空調なら開放的な間取りにできる
全館空調を導入することで、冷暖房効率の面で欠かせなかった仕切りやドアも取り払うことができます。
LDKから階段や廊下につながるドアなどもなくせるので、開放的な室内を作れますよ。
同様に、全館空調は通気口があるだけなので、ルームエアコンのようにボコッと出っ張りません。
室内の見た目も良くなり、広く感じられるメリットも。
室外機が少なくて済む(家の周りもスッキリ)
ルームエアコンはエアコンの数だけ室外機も必要になりますが、全館空調は1~2台の室外機で済みます。
建物の周りもスッキリして、スペースも有効活用できます。
エアコンの「カビ臭さ」も全館空調にはない
「エアコンをつけると、なんだかカビ臭い…」という経験はありますよね?
実は、あのカビ臭さの正体は、ダクト内に水滴がついて発生した水カビなんです。
全館空調はすべての部屋がダクトでつながり、24時間ずっと風が流れているので、水滴がつきにくく水カビも発生しにくくなります。
全館空調はこんな人におすすめ
- 普段からエアコンをよくつけたり消したりする人
- モデルルームのような開放的な間取りにしたい人
- 老後も安心して暮らせる家にしたい人
- お金をかけてでも、生活の質を上げたい人
全館空調の快適さを考えれば、基本的にどんな人でもメリットがあると思います。
そのなかでも特に「エアコンをよくオンオフする人」は全館空調との相性が良いですよ。
エアコンは電源をつけたり消したりするときに1番電気代がかかります。また、いちいちオンオフするのも面倒くさいですよね…。
その点、全館空調なら
- 24時間365日つけっぱなしで放置
- オンオフにかかる電気代もゼロ
なので、かなりストレスフリーな生活が送れますよ。
僕の経験談ですが、全館空調をつけた人に「もう一度建てるなら、また全館空調にしますか?」と聞くと、ほとんどの方が「イエス」と答えられます。
それくらい全館空調のある生活は快適です!
全館空調が得意なハウスメーカー6社
ここまでにいくつかハウスメーカーの名前も出しましたが、
- 全館空調をつける人が多いハウスメーカー
- 全館空調をつける人は稀なハウスメーカー
というのは確実に存在します。
ある程度ハウスメーカーが絞れていて、全館空調の導入を迷っている方はぜひ以下も参考にしてみてください。
全館空調が得意なハウスメーカー
- 三菱地所ホーム
- 三井ホーム
- 桧家住宅
- パナソニックホームズ
- セキスイハイム
- トヨタホーム
上記6つのハウスメーカーの場合、全館空調を導入する人のほうが多いです。
むしろ【全館空調ありきのハウスメーカー】とも言えるので、上記ハウスメーカーを検討している場合は全館空調を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
全館空調をあまりアピールしていないハウスメーカー
- 住友林業:エアドリーム・ハイブリッド
- 積水ハウス:エアシーズン
- 大和ハウス:エアスイート
- ミサワホーム:エアテリア
- 住友不動産:J・AIR
大手ハウスメーカーなら基本的にどこも全館空調システムを持っています。
ただし、全館空調の性能にはあまりこだわっていないメーカーが多いのも事実です。
ハウスメーカーによっては、全館空調を見送って他の部分に費用を回すというのもアリだと思いますよ。
【まとめ】全館空調は満足度の高い設備
まとめです。
全館空調のデメリットも書こうと思えばいくらでも書けるものですが…
本文で何度もお伝えしたように「全館空調を導入した人のほとんどは満足している」というのは事実です。
現役大手ハウスメーカー社員の僕の意見としては、全館空調は費用面さえクリアできれば前向きに検討すべき!です。
項目 | 金額 |
初期費用 | 100~300万円 |
月々の電気代 | 約24,000円/月 |
メンテナンス費用 | 約30,000円/年 |
修理費用 | (10万円~) |
交換費用 | (100~300万円) |
このあたりの出費を許容できるなら、全館空調のある快適な生活を味わってほしいなと思います。
以下の記事ではハウスメーカーごとの全館空調の特徴も詳しくまとめているので、ぜひ合わせてご覧くださいませ。
全館空調に関するよくある質問
インスタグラム(住宅スーツくん@家づくり)のフォロワーさんからいただいた、全館空調に関する質問もここで共有しておきます。
あります。気密性や断熱性が高い住宅ほど、空調効率も良くなり、光熱費を抑えられます。
気になるハウスメーカーのカタログは揃えましたか?
カタログはいわば教科書のようなもの。カタログを広げて、夫婦で話し合うのも住まいづくりの大切な時間です。
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